久遠の絆

もっと話したい。


彼といろんなこと、今までの経験だとか、どんなことを考えているのかだとか、他愛のないことでいい。


もっと話したかった。


でも、彼は決して本音を明かしてはくれないと分かっている。


だから蘭も訊けない。


こちらからも話せない。


彼との間に、いつも壁が見えるのだ。


こちらが言葉を発しようとしても、途端にその壁が跳ね返してしまう。


(こんなに近くにいても、まったく届かないわたしの声……)


その壁を乗り越え、彼の胸に飛び込む勇気など自分にはなかった。


拒絶されるのが怖い。


冷たい目で見下ろし、無言のまま立ち去る彼の姿が目に浮かぶ。


そして……。


(わたしも、自分の生い立ちを乗り越えない限り、カイルだけでなく、誰とも本音では話せない)

と思うのだ。


それを乗り越えたいと、カイルの申し出を受けることにしたはずだった。


そして洗礼を受ければ生まれ変われると、勝手に思い込んでいた。


(それが全部、あの人の芝居だったなんて……)


では自分は何のためにここにいるのだろう。


今までと何も変わらない孤独感でいっぱいで、傷付いた身体もまったく癒されてはいない。


いったい何のために……。