久遠の絆

“その時”を強調して言ったナイルターシャは、そこで疲れたように息をつき、急須を傾けた。


けれどお茶は出てこず……。


「小休止だ」


呟いて席を立ち、炊事場のほうに姿を消した。










「ふー」


巫女姫の姿が見えなくなって、蘭が長い溜息をついた。


ナイルターシャのまくし立てるような話に、息をすることも忘れて聞き入っていたのだ。


「疲れましたか?」


尋ねられて蘭は「ううん」と首を横に振った。


疲れていないはずはない。


(それでもこの人は心配をかけまいと……)


最初に彼女に隠し事をしたのは自分。


それに聡い彼女は気付いたのだろう。


次第に彼に大事なことを話さなくなってしまった。


(こういう状況だから仕方ないこととは言え……)


こうまで隔たりが生まれてしまったのは何故だろうと思う。


当初異世界から彼女を連れてきた時には、もっと彼女に親身になろうと努力していたはずだった。


それなのに……。


(ガルーダの侵攻は言い訳にはならないな)


元帥としての仕事に忙殺されていたとは言っても、彼女が何か話したそうな素振りを見せた時に聞いてやることはできただろうと、今になっては思う。


その時顔を背けたのは、彼女の混じりけのない無垢な視線に耐えられなかったからだ。


自分の胸の内まで見透かされてしまいそうだったから。