久遠の絆

重い書物を抱えたカイルは、それを持ち直しながら頷く。


(セクンが言うんだ。かなり扱いづらい方なのだろう)


それはカイルも感じたことではあったのだが。


その後本営に戻る前に自邸に寄り、書物を閉まった戸棚に厳重に鍵を掛けたカイルだった。















(その洗礼が、今まさに目の前で行われようとしている)


胸に鈍い痛みが走った。


ナイルターシャの原本を読んだ時の衝撃。


そして感じた疲労感。


目の前で乳白色に輝く球体の中にいる少女。


何も知らない、心と体に傷を抱える少女。


はたして彼女が、その儀式に耐えることができるのか。


彼女に触りすら教えなかったのは、余計な不安を与えないためだ。


しかしそれ以上に……。


(私は蘭さまに有無を言わせぬように、ただあの方の純粋な心を利用したのだ)


真実を知った時、彼女は正気でいられるだろうか。


騙されたと、カイルをなじるだろうか。


(それでも、この国のために……)


いや。


この世界のために。


耐えてもらわなくてはならないのだ。