久遠の絆

乳白色の光の向こうで何が行われているのか。


球体の外にいるカイルたちには垣間見ることすらできない。


ただじっと待つだけだ。


(ナイルターシャ……)


カイルは神秘的な美しい女性のことを思った。


あの初めて彼女の住む空間を訪れた日。


彼女は本題に入る際隣室へと姿を消し、戻ってきた時には一冊の書物を手にしていた。


それはカイルも見たことのある古文書だった。


「これは、私が若い時に書いたものだ」


年月を経て黄ばんだ紙を丁寧にめくりながら、ナイルターシャは平然と言った。


「しかし、これは……」


これは古い時代にできた本だ。


戸惑うカイルに、彼女はにっと笑って見せた。


「本当は承知なんだろう?あんたは何もかも承知の上で、分からない振りをしている。

あえて教えなくても、あんたは感付いてる。思っている通りさ。」


「……」


セクン大司祭が小さく咳払いをした。


「ナイルターシャさま。それ以上は……」


「大体神殿というところは権謀術数に過ぎるんだ。何でもかんでも隠せばいいというものじゃない」


ナイルターシャは、少し苛立ったように大司祭を諭している。


「いいかい。ここまでくれば神殿も皇宮もないんだよ。身内で競い合ってるときじゃない」


「それほどに厳しいとお感じなのですか、ナイルターシャさま」


「そうさ」


言葉とは裏腹に、存外事も無げに言うナイルターシャ。