久遠の絆

壇上に上がると、すぐにセクン大司祭が近付いてきて、手に持っていた水差しを振って蘭の体に中の水を振り掛けた。


そして何か経のようなものを唱え始めると、居並ぶ神官たちも立ち上がってそれに唱和した。


荘厳な祈りがドームに反響する。


蘭はどきどきする胸を抑えるように両手を組んでいた。


ここまでは想像していた通りの洗礼だった。


聖水を掛けられ、そして次は名前を授けられる?


(そしたらわたしは生まれ変われるんだろうか……)


やがて余韻を残して祈りの唄が終わった。


しばらく反響が残る。


それが耳鳴りのように、いつまでも耳の奥にこだましていた。


「さて、これで一応の禊(ミソギ)を済ませたわけですが、蘭さまにはこれよりさらなる洗礼をお受けいただかねばなりませぬ」


「……まだ……なにか?」


大司祭の淡々とした様子が不気味だった。


カイルを見た。


しかし彼は、なぜか蘭と視線を合わせようとしない。


(なんで?)


言い知れぬ不安が彼女を襲う。


(カイル、なんでわたしを見てくれないの?!)


そう声に出して叫びたいのに、口が渇いてしまって思うように動かない。


蘭は目を見開いたまま、瞬きすることも忘れていた。


次に大司祭が何を告げるか、怖かった。


「蘭さまには、このままここにいていただきます。我々は一度退去を」


「え?」


問いただす間もなく、大司祭もカイルもステージを下りようとしている。