「あの、ニアスやカイルは?」
前を行く神官に問うても、返事は返ってこない。
(きっと先に会場に行ったんだよね)
心細くなる気持ちを懸命に奮い立たせて蘭は、こちらの歩調などお構いなしに歩いていく神官を小走りで追った。
だんだん狭くなっていく廊下。
明かりも乏しく、薄暗い。
そのどん詰まりにあった扉を神官が開けると、さっと眩い光が目に刺さった。
思わず目を閉じて体を硬くすると、「さ、中へお入りください」と促された。
ゆっくり目を開けると次第に目が明るさに慣れてくる。
そして一番に見えたものは、円形のドーム天井。
フラスコ画のような模様がそのドーム一面に描かれている。
それからゆっくり視線を下げていくと、すり鉢上のひな壇に机と椅子が設置されてい
て、どこかの円形闘技場と大学の講義室が合わさったような風景が広がっていた。
そのすり鉢の底の部分にステージがあり、そこに先程のセクン大司祭やカイルの姿があった。
机と机の間の階段を下りていく。
どこから湧いて出たのかと思うほどの神官たちが隙間なく席に着き、前方からも左右からも蘭に視線が注がれている。
緊張で、衣の長い裾に何度足を取られそうになったことか。
けれど一度転べばすり鉢の底まで転がり落ちることが容易に想像できたから、つまずく度に踏ん張って堪えた。
やっとの思いで底に着くと、他のものには目もくれず、すがるようにカイルを見た。
すると彼はゆっくりと歩み寄って来て、「こちらへ」と手を差し出して微笑みかけてくれたのだ。
その笑顔だけで、蘭の気持ちはふっと軽くなった。
そして彼の手に自分の手を重ねた。
冷たくなっていた手が、彼の温もりに癒されていく。
無意識にぎゅっと彼の手を握っていた。
前を行く神官に問うても、返事は返ってこない。
(きっと先に会場に行ったんだよね)
心細くなる気持ちを懸命に奮い立たせて蘭は、こちらの歩調などお構いなしに歩いていく神官を小走りで追った。
だんだん狭くなっていく廊下。
明かりも乏しく、薄暗い。
そのどん詰まりにあった扉を神官が開けると、さっと眩い光が目に刺さった。
思わず目を閉じて体を硬くすると、「さ、中へお入りください」と促された。
ゆっくり目を開けると次第に目が明るさに慣れてくる。
そして一番に見えたものは、円形のドーム天井。
フラスコ画のような模様がそのドーム一面に描かれている。
それからゆっくり視線を下げていくと、すり鉢上のひな壇に机と椅子が設置されてい
て、どこかの円形闘技場と大学の講義室が合わさったような風景が広がっていた。
そのすり鉢の底の部分にステージがあり、そこに先程のセクン大司祭やカイルの姿があった。
机と机の間の階段を下りていく。
どこから湧いて出たのかと思うほどの神官たちが隙間なく席に着き、前方からも左右からも蘭に視線が注がれている。
緊張で、衣の長い裾に何度足を取られそうになったことか。
けれど一度転べばすり鉢の底まで転がり落ちることが容易に想像できたから、つまずく度に踏ん張って堪えた。
やっとの思いで底に着くと、他のものには目もくれず、すがるようにカイルを見た。
すると彼はゆっくりと歩み寄って来て、「こちらへ」と手を差し出して微笑みかけてくれたのだ。
その笑顔だけで、蘭の気持ちはふっと軽くなった。
そして彼の手に自分の手を重ねた。
冷たくなっていた手が、彼の温もりに癒されていく。
無意識にぎゅっと彼の手を握っていた。


