15分程待った頃、木崎君は急いで走ってやっえ来た。
急いだせいで息は切れ、焦っているのに、その表情は幸せそうだ。

同じように幸せな表情を浮かべて迎える。



「ちょっと歩くけど、いい?」
そういった木崎君はそのまま、私の右手を取って歩き出した。

向かったのは近くのコインパーキング。
会社の最寄駅には駅近のパーキングがないからこの駅での待ち合わせだったみたい。

彼のものらしい黒のツーリングワゴンの助手席を開けて乗せてくれる。


こんなふうにエスコートしちゃうんだ。


なんだか慣れた仕草に、ヤキモチを焼いてしまう。モテる木崎君に今まで彼女がいないって事はないだろう。
これまでの彼女達にもこんなふうにしてあげてたのかな‥‥。


運転席に座った木崎君が、黙り込んだままの私の頭をポンポンと撫でてくれた。