引き継ぎなんかもあるし、実際の私の移動は来月12月かららしい。


そりゃそうだよね。ってか、まさか移動なんてあると思ってなかったから、引き継ぎ資料なんて用意してないし、これでも日程的にはいっぱいいっぱいだ。

同じ島の後輩のアシスタントちゃん達に申し訳なく思いながら、至急に資料を作る。

必死に作業していたらあっと言う間に終業時間が来たけど、流石に定時に退社は出来なかった。やる事が山積み過ぎるのだ。



定時を30分以上過ぎてやっと退社したわたしは、急ぎ足で待ち合わせのカフェに向かった。

ずっと片思いをしている彼と2人っきりでの食事だ。ホントはキチンと化粧直しもしたかった。もっと言うなら、こんないつも通りの通勤服じゃなくてオシャレもしたかった。

でも、そんな事も言ってられない。会う理由に甘さなんて欠片もないんだし、木崎君がそんな事を気にしてる訳もないしね。


カフェに着くと、木崎君は窓際の席でぼんやりとすわっていた。