私ね、すごく楽しかったの。すごく幸せだったの。だからね、悲しいことじゃないよ。今までお世話になりました。

短い時間だったけど、君に出会えてよかった。君の生きる世界を生きることが出来て良かった。君の生きる世界を知ることが出来て良かった。さようなら。

君は随分と苦しんだから、もう楽になっていいよ。自分のことをもっと大事にしてください。そしてどうか、幸せになってください。それだけが願いです。それだけが祈りです。


 どうか幸せになってください。


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それを彼が読んだのかは分からない。読んだとして、どんなことを思ってくれたのかは分からない。

それでも、私の恋は全て貝殻の向こうに連れて行くから、君は幸せになってと願った。それは嘘じゃない。


 ――でもね、もう一度君に出会えることが出来たなら、もう一度君と生きることが出来たなら、今度は君が好きって言えるといいな。

そうして、君を幸せにしたいよ。君を幸せにしたかった。好きって言いたかった。それでも、さよなら。


 さよなら。







Fin