「……」


そのことに気分を良くした俺は去り際

わざと瀬戸に向かって捨てゼリフをはいてやる事にした。


「桐谷さん」

「え?」

「今度瀬戸に隠れて俺と浮気するって話、考えといてよ」

「!!」



俺の発言に、桐谷さんがピシッと石のように固まる。

その後ろで瀬戸のオーラがいっそう黒くなるのを感じながら、俺はこの場をあとにした。



あーあ。

あの様子じゃ、桐谷さん。

すんなり自分の家に帰れそうにねーな。



それに、今夜は瀬戸に優しくしてもらえなさそうだし。




「…俺もそろそろ作るか。カノジョ」




ちょうど明日から夏休みだし。

受験の息抜きくらいにはなるだろ。


なんて、ひどく澄んだ青空を見て、そんなことを思った。