* * *
しばらくして、雨があがり、燃えるような夕焼けを窓の外に感じながら、琥珀はぼんやり考えていた。
誰が何と言おうと、自分の気持ちをないがしろにするのは良くない。
思い出まで否定してしまっては、心が可哀相だ。
強くならなくちゃ、大切な想いを守れない。
悠希を好きだという気持ちを守れるのは自分しかいないのだから。
「悠ちゃん、手、もう離していいよ」
「え? あ、ああ! ごめん」
私と同じく窓の外の夕陽を見つめていた悠ちゃんは、未だ繋いだままだった手を指摘され、慌てて手を離した。
名残惜しさを感じながらも私はクスリと笑いながら赤くなる悠ちゃんを見つめて言った。
「ありがとね、悠ちゃん」
それが夕陽のせいなのか、本当に赤くなっていたのかは不明だが、それでも確かに、私は自分の想いを再確認していた。
私は、彼が好きなのだ。
人に押し付けられたものじゃない。
流された結果でもなく、彼を好きになった。
この気持ちは、私だけのもの。
私はそっと悠ちゃんの肩にもたれかかった。