俺の気持ちが、ちゃんと伝わるように。
「俺が今、前を向いていられるのはキミのおかげだ。俺は心音ちゃんが好き。大好きだよ」
ちゃんと、向き合ってもらうために。
「俺を選んでくれ、なんてそんな事は言えない。だけど…俺がそばにいること、心音ちゃんには居場所があること。忘れないで」
「はい。…絶対に忘れません」
「それじゃあ、帰ろうか」
「そうですね」
運悪く、俺にはライバルがたくさんいるから。
せめて後悔のない選択をしてほしい。
どんな選択をしたって俺は、
心音ちゃんが幸せでさえすればいいから。
なんて、綺麗事かな。
俺たちはそのまま、寮への道を歩いた。