【翔斗side】
「お待たせしました…っ」
お手洗いに行った心音ちゃんが帰ってきたところで俺も席を立つ。
「それじゃ、そろそろ出よ?」
時刻を見ると7時少し過ぎ。
丁度いい時間かな。
「はい」
そのままお会計の方に向かおうとする俺の腕を心音ちゃんが遠慮がちに掴んだ。
「…?どした?会計はこっちだよ?」
「いえ、あの…。お会計はもう済ませましたっ」
やられた……!
今さっき席を立った時か。
「お昼の仕返しです」
そう言って少し意地の悪い顔をする彼女。
可愛すぎる………。
「やったな、もう!全然気づかなかった」
「はいっ」
そんなこんなで言い合いをしながら俺たちはファミレスを出た。
「仲がいいんですね」
お店の店員さんにそんなことを言われながら。
☆*☆*☆*☆*☆
「先輩!これ、先輩に似合いそうじゃないですか?」
気を取り直してショッピング中。
2軒目に立ち寄ったお店で突然心音ちゃんがそんな事を言ってきた。
「どれ??」
そんな心音ちゃんが持ってきた服は黒のシンプルなセーター。
丈が少し長くて、しかも俺が愛用してるブランド。
「確かにかっこいいね。…もしかして俺がこのブランド好きなの知っててわざと持ってきた?」
「はい。……バレちゃいましたか」