最初はひどく混乱していた先輩も、徐々に本当の姿を見せてくれた。
その時に先輩の過去を詳しく聞いたわけじゃない。
それでも先輩が抱えているものの大きさはよく伝わった。
あの時自分がうまく喋れていたのかどうかは…正直覚えていないというのが本当。
とにかく必死で。
過去に囚われたままでいて欲しくなくて。
足りない頭で一生懸命言葉を並べてた。
後輩なのに生意気すぎたかなって不安になったりもしたけど…。
少しでも先輩の助けになれたみたいでよかったな…。
「そろそろでよっか」
「はい」
そのままお店を出ようとする先輩。
「…先輩?あの、お会計は…」
「済ませたよ。さっき心音ちゃんがトイレに行った時!」
さらっとカッコいいことをしてのける先輩。
いつもいつもスマートな対応をしてくれる。
「え、そんな!いくらでしたか?」
「いいからいいから。気にしないで」
「いくら何でもそれは…。それじゃああたしの気が済まないので。何かしてほしいことがあれば言ってください!」
精一杯の、あたしのお返し。
「じゃあさ、今日1日俺の隣から離れないで?それが俺のして欲しいこと!」
「そ、それだけでいいんですか!?」
「うん。俺は心音ちゃんがいてくれさえすればそれだけで幸せだから」
はにかむように笑う先輩。
もう、いい人すぎますよ…。



