【心音side】
ピピピピピ───────
朝を告げる音が鳴る。
あたしは鳴り響くその音を止め、身体を起こした。
今日はバイトの日。
桐沢くんと初めて一緒にお仕事です…!
顔を洗って髪を整えて…
バイトの準備をして時計を見ると
いい時間だったのであたしは靴を履いて外に出た。
すると、やっぱりそこには桐沢くんがいて。
「……はよ。行くか」
「はい」
あたしたちは寮を出た。
朝の冷涼な風を受けながら桐沢くんと2人、並んで歩く。
やっぱりあたしたちの間に会話はほとんどなくて。
それでも何か、隣を歩いてるってだけで安心感を覚える。
「…桐沢くんは、いつからSKYでバイトを?」
「中3。高校決まってから」
「そうなんですね…!」
「……お前は?」
「あたしは…中2の終わりの春休みから…」
「…は?中2って…。中学生でも雇うのかよ、SKYは」
珍しく、桐沢くんとの会話が続く。
「いやあの、それは…。本当はダメみたいなんですけど、うちの家計が本当に苦しくて…。話を聞いてくれた輝(ヒカリ)さんが特別に採用して下さったんです」
「……お前も色々苦労したんだな。じゃ、市川って女は?お前仲いいんじゃねーの?」
「どうして分かるんですか?」