「うん。出来たら、でいいんだけど…」
「分かりました」
呼び捨てって事は、“歩結”って呼ぶってことだよね…?
──────恥ずかしい…!
「無理言ってごめん」
「だ、大丈夫です!」
守りきれるか不安だけど……
出来るだけ頑張ります……!
「じゃ、入ろうか」
「はい…あ、……うん!」
歩結先輩…改め歩結、の言葉に頷き2人で目の前の大きなショッピングモールに足を踏み入れた。
☆*☆*☆*☆*☆
「どこか行きたいところはある?」
ショッピングモールに入ってすぐ、昼食をとったあたしたち。
お会計は全て歩結が払ってくれて、申し訳なく思いながらお店を出た。
「うーん…、少しだけ洋服を見てもいい?」
「いいよ。じゃ2階に行こう」
「うん。ありがとう!」
「楽しそうでよかった」
「…すっごく楽しいよ」
こうしてあたしたちは2階へ移動を始めた。
「わぁ~…!可愛い…」
「心音に似合いそうだね」
「ほんと?」
「うん、本当!」
2階の洋服屋にて。
あたし好みの服がたくさんあって、柄にもなくテンションが上がる。
「通りでオシャレなわけだ。洋服、好きなんだね」
「うん…!」
あたしが名前の呼び方を変えたように、先輩もあたしの事を“心音”と呼び捨てで呼ぶようになり。
普段から“心音ちゃん”で聞き慣れているあたしには、このデートは緊張の連続で。
「良かったら後で、俺に似合いそうな服選んでみてくれない?(笑)」
でもそれ以上にとっても楽しかった。