そしてそのまま歩き出そうとした時、あることに気がついた。
………手、繋いだままだ…。
目をつぶっていたあたしを案内するから、と言って手を握ってくれた歩結先輩。
今はもう目を開けているのにその手は離れないまま。
どうしよう…。
嫌ではないんだけど、すごく緊張する…!
「あ、あの…………」
「ん?……あぁ、手繋いだままだったね」
それをどうやって伝えようか考えていると、歩結先輩がいち早くその事に気づいてくれた。
──────だけど。
「………このままじゃ、嫌かな?」
「え?」
「手。繋いだままじゃ嫌?」
先輩はその手を離そうとはしなかった。
……嫌かと聞かれれば、嫌ではない。
だけど……付き合ってもいないのに、いいのかな…?
「ははっ。困らせちゃってごめん。でも俺、今日くらいは心音ちゃんの特別でいたいんだ」
そう言う先輩の目は真剣そのものだった。
「…て言うかごめん。今日は強制。俺が勝手に決めたルールを守ってもらえないかな?」
なんだか今日の先輩はいつもより少し、強引?
でも。
「…はい。分かりました!」
いつもいつも優しく、あたしの我侭を聞いてくれる先輩。
そんな先輩のお願いを聞かないわけにはいかない。
「…うん、ありがとう。じゃあお言葉に甘えて」
歩結先輩は1度立ち止まり、あたしの方を向いた。
「今日だけでいいからさ、俺のこと…名前で呼んで?もちろん呼び捨てで。それから敬語もなしにしてほしい。……大丈夫かな?」
「先輩の事を、呼び捨てで…?」



