「ありがとう」
「はい」
「じゃ、改めて。今日は楽しもうね」
「はい!」
こうして歩結先輩とのデートは始まった。
「ところで、あの…。今日はどこに行くんですか?」
そう、実は今日の行き先を教えて貰えていないんです。
「んー、着いてからのお楽しみかな。大丈夫だよ。心配しなくても心音ちゃんが嫌がるところではないから」
「は、はい…」
歩結先輩は一体どこに連れていってくれるんだろう…。
あたしの心はドキドキとワクワクでいっぱいだった。
☆*☆*☆*☆*☆
「心音ちゃん。目、開けていいよ」
電車を降り、目をつぶるように言われていたあたしは恐る恐る目を開ける。
「こ、ここって…!」
「どう?喜んでもらえたかな」
目を開けた先にあったのは、最近オープンしたばかりのショッピングモール。
つい最近、汐梨ちゃんと“行きたいね”って盛り上がった場所だった。
「はい、嬉しいです…!すごく行きたかったので…」
「喜んでもらえたみたいでよかった。それじゃあ中に入ろうか」
ふわりと優しく微笑む先輩にあたしは笑顔で頷いた。