黙って俺のモノになれ【下】



「あの、先輩。実はあたしもあるんですけど…全然大したものじゃなくて…」



「…お前からならなんでも嬉しい」



遠慮がちに差し出された袋を受け取った。



「開けていいか?」



「はい…」



開けてみるとそこに入っていたのは、ライオンの小さな刺繍の入ったリストバンドだった。



「サッカーする時に、使ってもらえたらって思ったんですけど…」



「…使うよ、大切に使う。ありがとな」



これで心音からのプレゼントは2つ、か。


こんなに幸せでいいのか、俺は。



「……心音」



やっぱり俺はお前しか好きになれない。



「はい?」



だけど気持ちは押し付けたりしない。


答えを出すのは心音だ。


それでも、伝えたい想いがある。



「もう一度だけ、言わせてくれ」



「…はい」



これで、気持ちを伝えるのは最後にする。




「俺はさっきも言ったように女の事がほとんど分からない。だけどそれでも…お前が、好きだ」



お前が答えを出すまでは。



「何もしなくていい。ただ…傍にいて欲しいんだ」



だから、考えろ。


お前の全てを使って。



「心音が傍にいてくれるだけで、俺は頑張れるから」



俺はお前がどんな答えを出したとしても受け止める。














その後は特に何があるわけでもなく、寮にたどり着き。


俺と心音のデートは幕を下ろした。