だけど、どれだけ言い寄られても、見つめられても先輩は動揺を一つも見せなかった。
だからどうしてだろう?って…。
「それは…自慢じゃねーけど俺も告白とかはよくされたし、中学どころか小学校でもよくある事だったからそーゆーのには慣れてるだけだ」
「そ、そうですよね…」
言われてみればそうだよね…。
楓先輩が自分から女の子に絡まないだけで、反対は日常茶飯事でもおかしくない…か。
そんなの聞かなくても分かることだ…。
「ただ俺は言われるがまま、されるがままだったし…自分からいくことも話しかけることもなかったから女の事は全く分からない。だから今日、お前を楽しませてやれてるのかも分からない。頼りなくて悪いな」
楓先輩……。
「…すっごく楽しいですよ。楽しいに決まってるじゃないですか!先輩が一生懸命考えてくれたデートです。だから…自信もってくださいね。先輩は…自分で思ってるよりずっと女の子の事、分かってると思いますよ」
確かに、翔斗先輩や優空くんと比べると経験値は低いかもしれない。
それでも楓先輩は楓先輩だし、あたしはこうして楽しめてる。
だからそんな事は全然…気にすることじゃない。
「あぁ。お前はそう言うと思ったよ。…ただ、1つだけ知っておいてほしい。俺が女の事を少しでも理解している様に見えているなら。お前が今楽しいと思えるようなデートができているなら。それは間違いなく心音、お前のおかげだ」
楓先輩は、こんなにもかっこよくて。
あたしの事をこんなにも真っ直ぐに想ってくれてる。
「…ありがとう、ございます」
「……あぁ」
どこか気恥しい気持ちを胸に、微笑みあったあたしたちは再び動物園を満喫するため下ろしていた腰を上げた。



