【心音side】



土曜日。


──────楓先輩とデートの日。


起床して身支度をしていると、



──────コンコン



扉を叩く音が聞こえた。



「楓先輩!すぐ行きます…!」



ショルダーバッグを肩にかけ、あたしは急いで部屋を出た。



「悪い。急がせたか?」



「いえ!大丈夫です。おはようございます」



「おはよ。…じゃ、行こう」



「はいっ」



あたしたちは並んで寮を出た。














☆*☆*☆*☆*☆














「わぁ…久しぶりに来た…」



「本当にここでよかったのか?柊」



「はいっ…!あたし、実は小さい頃からずっと動物好きで…」



「そうか。ならいい。しっかり楽しめよ」



2人で選んだ場所は隣町の動物園。


実は…


今日の行き先は全然決めてなくて。


さっき2人で選んで決めた。


……とは言っても今日まで決まらなかったわけではなく、わざと決めなかったという方が正しい。


前もって決めておくより、当日行きたいところに行ったほうがいいだろうって言う楓先輩の意見にあたしも賛成した。


何だか…先輩らしいな、なんて。



「楓先輩は…何の動物が好きなんですか?」



「俺?俺は…レッサーパンダが結構好きだな」



「レッサーパンダ、ですか…。ふふ。楓先輩らしいですね」



「そうか?そう言うお前は何が好きなんだ?」