“誠二朗さんに気持ちを伝えてきた。そしたら《幸せになれ》そう笑顔で手を振ってくれた。お母さん、間違ってなかったかな?”
“間違ってたかどうかは今すぐ分かることじゃないよ。だけど…お母さんがそれで幸せになれるなら、あたしは間違ってなかったと思う。お父さんを…早く迎えに行かなきゃね”
“心音…何だかあなたも強くなったわね。お父さんを…探してくる”
“うん、気をつけて”
あたし、強くなれたかな…。
なれてるよね、きっと。
お父さんもきっと、お母さんを待ってる。
うまくいくといいな…。
あの家は、1週間後に出ることになった。
誠二朗さんはそのままいればいいって言ってくれたけど。
それじゃあただの甘えになるから。
誠二朗さんにとっても、あたしたちにとってもそれが1番の判断だと思うから。
あたしたちの引越し先は、アパートに決まった。
今まで見たく贅沢は出来ないけど…
それでもいい。
家族みんなで笑って暮らせるなら。
とは言っても…あたしは寮生活なんだけどね…。
学校は、そのまま通わせてくれることになった。
とりあえず……ひと段落ってところなのかな…。
お家のことも何とか解決した。
一輝くんともちゃんと話ができた。
残るは…
あたしが彼らと向き合って答えを出すことだけ。
彼らは、答えは出さなくていいって。
そう言ってくれた。
だけど…………
──────本心はきっとそうじゃない。
あたしのために、皆は我慢してる。
それならあたしがするべきことは
1つしかない────────



