「…じゃー、俺らは帰ろうか」



「歩結さん、でも……」



「優空。歩結の言う通り、今日はもともと湊叶が2人で過ごすはずだったんだ。少しくらい話す場を設けてもいいんじゃない?」



「翔斗さんまで……。分かりました。絶対抜けがけすんなよ」



「先輩、すいません。優空も…わりぃな。約束は守るよ」



「…ならいい。じゃーな」



そう部屋に戻って言った優空くんを先頭に、皆は部屋に戻って言った。



「…えっと……」



突然の状況にやや混乱中のあたしは皆が帰った後も、何も出来ず立ち尽くしていた。



「…ここじゃ何だしもっかいだけお前の部屋、入っていい?」



「…あ、はい」



そのまま桐沢くんに連れ去られるように再びあたしの部屋へと戻った。














「…で、本題だけど。お前SKYでバイトしてんだよな?」



「…はい」



何かと思えば桐沢くんの話はあたしのバイト先の事だった。



「あの、それがどうかしましたか…?」



「……俺もお前と同じバイト先っつーか…。明日のシフト一緒だから朝迎えにいく」



「……え?バイト先って、え……?」



突然のことに頭がついていかないあたし。



「……えー!じゃあ、あの、シフト表で見かける『桐沢さん』って…桐沢くん、だったんですか?!」



そしてようやくあたしは事の事態を把握した。



「そーだけど。何かあった?」