誠二朗さんへの気持ちが嘘だったわけじゃないことも分かってる。
お母さんは、誠二朗さんのこともちゃんと好きだった。
だけどお父さんの話を聞いてからは、
「誠二朗さんへの気持ちが嘘だったわけじゃない。大切だった、大好きだった。だけど裕司さんが優しさで私たちを置いていったんだとしたら…次は、私が迎えに行ってあげたい…」
ずっと、揺れてたんだと思う。
あたし以上に、たくさん悩んだよね。
──────お母さん。
「…分かった。誠二朗さんに伝えよう。そして…迎えに行こう?3人で」
「そうだな。そうしよう?母さん」
「心音…っ、裕汰…っ」
あたしたちは抱き合った。
1つの決意を固めて。
誠二朗さん。
あなたは本当に完璧な人でした。
違う形で会っていたら、こんな風にお別れしなくてよかったのかもしれない。
お母さんは、決めたみたいです。
あなたに…後悔は、ないですか…?
もしあるんだとしたら、それを過去に出来るくらい素敵な女性と出会えることを。
3人で願っています。
辛い決断をさせてごめんなさい。
あたしたちの気持ちを…母の気持ちを優先してくださって、
─────本当にありがとうございました。
翌日、寮に戻ったあたしに母から連絡があった。



