【叶愛side】
冬が近づいているにも関わらず、何だか暖かい今日この頃。
天気もいいし、ショッピングに出かけようとした私のもとに一件のLINEが届いた。
「…心音だ。珍しい」
その通知の正体は、中学の頃の友達…心音だった。
桜河祭で再開した時、連絡先は交換したけど。
その日以来、連絡は取っていなかった。
──────急にどうしたんだろ。
そう思いつつ、履こうとしていた靴を脱ぎ再びリビングに戻りながら心音とのトークを開く。
そこには
“叶愛ちゃん、久しぶり。元気、かな…?あのね、突然なんだけど…あたし一輝くんに会ってみようと思う”
想像もしていなかった言葉が綴られていて、すっごく驚いた。
心音と言えば、引っ込み思案で気弱で…男嫌い。
そんな心音が“男嫌いの原因”にもなった宮城に会いに行こうと思うなんて…成長しすぎでしょ、本当。
“久しぶり!分かった、いいよ。夢望(ノゾミ)に言ってみる”
心配じゃないかと言われれば、もちろん心配。
だけど私はとめない。
心音が決めたことに口は出したくないし、私は早く…楽になってほしいから。
過去に囚われて閉じこもったままじゃ、もったいないから。
楽しかったあの頃を嫌な思い出だけにしてほしくないから。