「何かこれ、絶対違うとこ向かってるよね。俺ら」
水族館を出ても、やっぱり人は多くて…。
とりあえずこの人の波の中に紛れてたら駅にたどり着けるかな、と思って歩いてたんだけど…。
どうやら違う道に迷い込んでしまったみたいで、周りを見るもそこにいるほとんどがカップルだった。
「はい…そうみたいですね……」
後ろには小さく見える水族館。
「ま、ここまで来たしちょっと行ってみよーよ」
「で、でも…」
「大丈夫だって、見たらすぐ帰るから」
「分かりました」
あたしだって、もちろん気にならないと言えば嘘になる。
だけどこんなに多くのカップルたちが行く場所って一体───────?
「うわ…ここ、こんな場所あったんだ…」
思わず優空くんが声をあげたその場所。
そこは眺めのいい、小さな丘の上だった。
夜だからか、ここから見える景色はとっても綺麗で、あたしも優空くんも言葉を失った。
「…あ、あれ桜河(オウガ)じゃない?」
そんな中、沈黙を破ったのは優空くん。
その指差す方向を見ると大きな桜河の建物と、その横にたたずむ小さなコンビニの光があった。
─────『───────みお?』
瞬間、蘇るあの日の記憶。
あの日から…もう1ヶ月が経つんだ…。
文化祭の日の夜、あたしはあの場所で……
お父さんに会った。



