あたしは───────────────
「…翔斗先輩っっ」
────────────あなたが好き。
翔斗先輩の前に行くと彼の目から一筋の涙が頬を伝った。
「先輩…?」
「あれ…。俺なんで泣いてるんだろ」
おかしいな、とはにかむ翔斗先輩をあたしは優しく抱きしめた。
「お待たせしてしまってごめんなさい。あたしは、翔斗先輩が好きです」
誰よりも大きな過去を背負ってた先輩。
出会った頃は翔斗先輩とこんな風になるなんて考えてもいなかった。
「…夢みたいだ。俺も大好きだよ、心音ちゃん」
彼は回した手にぎゅっと力を込めた。
込められた力から、先輩の気持ちは痛いほど伝わってくる。
「夢じゃないですよ」
先輩の頬の雫を拭い、あたしは微笑んだ。
出会った頃の先輩はあたしが最も恐れてたタイプの男性で。
でも実は居場所を誰よりも欲している人だった。
「心音ちゃん…」
話を聞けば聞くほど、先輩は真面目で。
────────────いつしか、
あたしも先輩の居場所になりたい。
そう思うようになってた。
この気持ちが恋だと気づくのに時間はかかってしまったけど。
今ははっきりと翔斗先輩だけが好きだと言える。



