「…心音」
あたしの名を呼ぶその声に顔をあげると
「俺を選んだからには一生そばにいる覚悟はあるんだろうな?」
彼はふわりと優しい笑顔を浮かべてて
「おいっ。聞いてんのかよ?!」
少しだけその表情に魅入ってしまった。
「ごめん!聞いてる!奏夢くんのそばにいさせてくださいっ」
稀に見せる奏夢くんの笑顔には未だ慣れず…
あたしの心臓は鳴りやむことを知らない。
「上等だ」
いつもの調子で彼はそういい、もう一度あたしを抱きよせた。
「父さんにも紹介しねぇとな」
そういう彼は立派な御曹司で。
「う、うん。少し緊張するな…」
将来はお家を継いで社長になる運命を背負ってる実はとってもすごい人。
「んな心配する必要ねぇっての。隣に俺がいるだろーが!」
だからこそきっとあたしが想像している以上に大変な事もあって。
「そうだね…っ」
これからはそういった面でも奏夢くんを支えていける存在になれたらいいなって、そう漠然と思ってたりもする。
「お前1人くらい俺がいくらでもカバーしてやるよ」
奏夢くんの背中はどこまでも大きくて、本当に頼もしい。
「ありがとう。心強いよ」
家族を失ってもなお、強くまっすぐいられる奏夢くんを心からかっこいいと思う。
お父さんに紹介されても恥ずかしくない程度にはお作法、勉強しないとな…。



