黙って俺のモノになれ【下】


一方、あたしたちはと言うと…



「まぁなんてゆーか。奏夢と優空は想像通りだよね」



「うん。意外だったのは湊叶、お前くらいだよ」



翔斗先輩と歩結先輩が口を揃えてそういうみんなの進路。


奏夢くんはもちろん、お父さんの跡を継ぐために県内の超エリート大学に合格。


優空くんはこれまたもちろん、本格的に俳優を目指すためにモデル活動に専念するらしい。


そして、湊叶はというと。



「無理せず頑張れよ、湊叶」



「…ありがとうございます。楓さん」



この地を離れ、県外の大学へ入学が決まった。


あたしは当然、お金に余裕が無いため県内で就職先探し…。


もう卒業だっていうのに、高卒の上に資格もないあたしは就活に未だに苦戦中。


あたしの進路はどうであれ、湊叶とは遠距離になる。


それなのに───────



「心音ちゃんは就職先、見つかりそう?」



「それがまだ全然で……」



「そっか…、でも焦ることないよ。心音ちゃんいい子だしきっとすぐに見つかる」



「ありがとうございます」



「湊叶、お前柊と遠距離か。寂しくなるな」



そう、私がずっと気になっているこの問題を彼は



「寂しくなんてなんねーですよ。こいつの気持ちは分かってるし、こいつだって俺の気持ち分かってるはずなんで」



これっぽっちも気にしてない。


確かに湊叶の気持ちは分かってる。


あたしだってこの気持ちは揺るがないって思ってる。


だけど、だけど………


ちょっとくらい、寂しがってくれてもいいじゃん…!



「…ちょっと、玲弥たちのとこ行ってくるっ」



湊叶のバカっ…………………!!



「あ、ちょっと!心音ちゃん???」



後ろから翔斗先輩の声がしたけど。


あたしは構わず玲弥たちの元へ走った。