黙って俺のモノになれ【下】



「あれ?湊叶くん、部活は?」



「今日は休みんなったから」



「そっか。嬉しい」



そうニコッと微笑むと湊叶くんはあたしの手を引き歩き出した。


なんだかいつもと様子が違うような…?



「…くそっ。こんなんで1年間大丈夫かよ」



異変には気づいたものの、そんな湊叶くんの言葉はまだあたしの耳には届かなかった。



「湊叶くん?どうかした?」



「別に。何でもねぇよ」



繋がれた手の指を絡めながら湊叶くんはそう言う。


その事にドキドキしてそれ以上は聞けなかった。














結局、寮の部屋の前まで湊叶くんの口数は少なくて。


やっぱり何かあったんだと口を開こうとしたその時、湊叶くんが話し出した。



「…心音さ、中込たちと仲良いんだな」



玲弥たちの話…?



「うん。入学した時からよくしてもらったし昨年も同じクラスで一緒にいたから!それがどうかした…?」



「…別に」



ふいっと顔を背ける湊叶くんの行動で察したあたしは湊叶くんの胸に顔をうずめた。



「ちょ、急になんだよ」



「湊叶くん。もしかして…ヤキモチ?」



動揺する湊叶くんの言葉にあたしは彼の腰に手を回しそう答える。


だってそう考えれば全ての辻褄が合う気がするから。



「…悪ぃかよ。だっせーのは分かってるけど俺、心音のことになると余裕がねぇ。お前無防備すぎるし余計にな」



「そんなに無防備じゃないよ…。でも全然ださくなんかない。あたしだってヤキモチやくから」



「お前も?」



「当たり前だよ。湊叶くんはかっこいいからいつだって女の子からモテモテだし…。ヤキモチやくのはあたしだけだと思ってたから、ちょっと嬉しい」



デートの時はいつもそう。


どこに行っても浴びるのは女の子の視線。


分かってる。湊叶くんはかっこいい。