【心音side】
「手なんか繋いで。…ムカつく」
「まぁまぁ、落ち着けよ。優空」
「落ち着いてなんかられませんよ!翔斗さんは悔しくないんですか!?」
「そりゃ、悔しいけど…それは皆だって一緒だから」
寮につくと、湊叶くん以外のメンバーが玄関に揃って待っていた。
「皆さん…!ごめんなさい……」
「心音ちゃん、謝る必要なんてないよ。選べって言ったのは俺たちだし。それに…」
「俺たちは覚悟してるって言っただろ、バカ女!こーなる結果だって全く考えてなかったわけじゃねぇ。むしろ謝んな!俺たちがみじめになるだろぉが」
歩結先輩と奏夢くんが謝るあたしにそう言った。
でも、たしかにそうだよね…。
あたしが謝るのは皆の覚悟を踏みにじることになるんだ。
それならあたしが言うべき言葉は…
「ありがとう、ございました…!これからも仲間として、友達として。仲良くしてくれると嬉しいです…っ」
「絶対心音は俺を選んでくれるって思ってたのに。しょーがないから仲良くしてやるよ、友達として」
「優空くん…ありがとう」
「…俺、皆の分も心音を幸せにするから」
湊叶くん…………。
「湊叶。頼んだからな」
楓先輩が湊叶くんの肩を叩き、エレベーターに向かっていく。
「悔しいけど湊叶、かっこいいよ。心音ちゃんを泣かせるようなことがあればすぐにでも俺が入り込むからね」
翔斗先輩に小突かれる湊叶くんと共にあたしもエレベーターに向かう。
「心音さ、何で湊叶なんだよ…納得いかない」
「優空くん…」
「なんて、だっせーな俺。…ごめん」
「ううん、ださくなんてない。好きになってくれて嬉しかった。本当にありがとう…」
優空くんにはたくさん、助けてもらったよね。
この気持ちを好きに変えることはできなかったけど…