「…迷惑なわけねぇだろ。俺は嬉しいけど」
言うが早いが湊叶くんはあたしの右腕を引っ張り抱き寄せた。
ほのかに感じる湊叶くんの鼓動から彼の気持ちは痛いほど伝わってくる。
「湊叶くん、心拍数が早い…。あたしと同じだね」
「当たり前だろ。好きな女が自分を選んでくれたんだから」
“好きな女”
湊叶くんから伝えられる言葉はいつだって何度だってあたしの心を弾ませる。
「…うん」
「ぜってー大事にする。だから…」
湊叶くんは一度身体を離し、あたしと目を合わせる。
「…心音」
そして優しく、
初めてあたしの名前を呼んだ。
「俺と付き合ってください」
あたしの返事はもちろん決まってる。
「よろしく、お願いします…っ」
彼の陰が近づいてくるのを感じ、あたしは静かに目を閉じた。
直後唇に感じる暖かい温もり。
初めて感じる幸福感にあたしの頬を涙が伝った。
「心音?」
「あ、あの違くて…。その、嬉しくて涙が…」
「驚かすなよ。嫌だったのかと思ったじゃねーか」
「そんなわけないっ…」
好きな人を想う幸せ。
好きな人に想われる幸せ。
なにより、好きな人と想いあえる喜び。
「湊叶くん…大好きだよ」
それら全てを今、あたしは心と身体全部で感じてる。
「…ん、俺も」
いつも意地悪ばかり言ってくる湊叶くんも。
たまに見せる優しい湊叶くんも。
最近知った甘い甘い湊叶くんも。
彼の全てが愛おしいと思う。
「つか、嬉しくて涙流すとか…可愛すぎ」
自分がこんな風に男の子を思う日がくるなんて、少し前までは考えもしなかった。
「もう、恥ずかしいよ…」
「今まで伝えらんなかった分、これからはちゃんと伝えてくから」



