【心音side】
そして、約束の金曜日────────
「玲弥、慧、真人、春樹。行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
「心音~!応援してるぜっ」
「真人、うるさい。気をつけてな!心音」
「道に迷うなよ」
放課後、4人に声をかけあたしは教室を出る。
学校を出て駅に向かい、電車を乗り継ぎ向かう場所。
そこではきっと、あたしのたった1人の好きな人が待ってる。
たくさんたくさん悩んで、考えてたどり着いたあたしの答え。
この答えにはもう迷いなんてない。
目的のホームに降り立ちあたしは緊張を募らせた。
あたしなんかより皆の方が緊張してるんだって事は十分分かってるけど…
それでもやっぱり胸の高鳴りは止まることを知らない。
進む足の速さに比例するように加速する胸の鼓動を感じながらあたしは目的の場所へ急いだ。
進む先にはあたしが会いたかったシルエット。
たくさん待たせてごめんね。
あたしは─────────
「…湊叶くんっっ」
───────────君が好きだよ。
「っ、お前…」
彼の前へかけよると分かりやすいほどの動揺を見せる。
「遅くなっちゃってごめんね…。あたしが好きなのは、この先一緒にいたいと思うのは。湊叶くんだけだよ」
答えを出すのが遅くなって、本当にごめんね。
あたしは湊叶くんが好き。
「お前さ、分かってる?本当に俺でいいのかよ」
「湊叶くんが、いいんだよ?それとも迷惑…かな……」