「しといた方がいいよ、なんてそんなたいそうな事は言えないけど…それは裕くんにとって新たな経験になるわけだし勉強になることはたくさんあると思う。だけどそれはあたしが決めることじゃないから」
「だよな…。実は今すっげぇ俺に想いを寄せてくれてる女子がいて。今まではサッカーの事しか考えらんないからって断ってたんだけど、今日誠二朗さんの話も聞いたしさ。真剣に向き合ってみてもいいのかもしれねーなって思ったんだよね」
「その子のこと、裕くんはどう思ってるの?」
「嫌だと思ったことは無い。ただ、好きかって聞かれると分かんねー…」
わかるよ、裕くん。
好きって本当に難しいよね。
あたしもその壁にはぶつかったばかりだから…。
「好きから始まる恋じゃなくてもいいと思う。そういう形の恋愛だってあるはずだよ。ただ…その子の気持ちを弄ぶことはしないで?大丈夫、裕くん自身でちゃんと考えれば自ずと答えは見えてくると思うから。頑張ってね…!」
「はぁ、何かちょっとだけスッキリしたかも。さんきゅ、心音。俺頑張ってみる」
おやすみ、そう言い残して裕くんは部屋を去っていった。
そっか…裕くんも今恋に悩んでるんだ。
きっとあたしたちがぶつかってる壁はそんなに簡単なんかじゃない。
だけど後悔しないように。
今を精一杯生きるために。
皆の想いを無駄にしないように。
一緒に頑張ろうね、裕くん。
少しでも幸せな道を選べるように…。
☆*☆*☆*☆*☆
「え、なになに。ちょっと待って!頭追いつかないんだけどっ」
翌日の夕方からのバイトで、あたしは汐梨ちゃんに6人から告白されたこと。
それから好きな人がわかったことを報告した。



