窓の外を見るとそこはもう家の近くで。
静かに車をとめた誠二朗さんはあたしたちをみて一言、こう言った。
「今日、おじさんに会ったことは結美さんには言わないでおいてくれないか。皆の幸せを邪魔したいわけではないからね」
「…わかりました」
「約束します…」
あたしたち2人の返事をみて満足した様子の誠二朗さんは
「それじゃあ、元気でね」
そう言い残し、車を発進させた。
「どこまでもいい人だったね…」
「…だな。俺、後悔しねーように生きたい」
「うん…そうだね」
今はまだ不完全だけど。
いつか、誠二朗さんのような強い人になりたいと心から思った。
「裕くん、帰ろ?」
「…うん」
「お母さん、お父さん。少しだけお話があるんだけど…」
夕食後。
あたしはある報告をするため、2人に話しかけた。
「あら、どうしたの?改まっちゃって!」
「何時までだって付き合うぞ?」
「うん…あのね」
報告の前にあたしは男の子が苦手だったことを初めて告白した。
きっと、お母さんは言わなくても気づいてたと思う。
だけど、それでも、
伝えておきたかった。
桜河に入って変われたんだよってことを言葉にしたかった。
「…だったってことは克服、したのね?」
「うん、桜河の人たちは皆本当にいい人で。あたしのペースに合わせてくれたんだ。…いつか必ず紹介するね、あたしの大切な友達」
「心音、すまない。心音をそんな風にしてしまったのは俺のせいでもあるだろう?克服できて、よかったな…」
「ううん、お父さんのせいじゃないよ。あたしが、弱かったの。それでね…」
あたしが伝えたかったのはここから。
「あたし、…好きな人ができたの。2人にはどうしても報告しておきたくて…」



