「なぁ、これどー思う?」
「うん、裕くんに似合うと思うよ」
「これにしよーかな…」
その後も沢山のサッカー道具を買って、あたしの服もちょっと見たりしてたらすぐに時間は過ぎていった。
「買い足りないもの、ない?大丈夫?」
「充分。俺、サッカー頑張るから」
「うん、応援してるね」
用を済ませて帰ろうと歩みを進めた時。
あたしたちはある人と鉢合わせした。
「─────誠二朗さん…?」
後ろ姿しか見えなかったけど、その人は間違いなく誠二朗さんだった。
「心音ちゃん、裕汰くん。こんばんは」
振り向いたその人は優しい微笑みでそう答えた。
「…こんばんは」
戸惑いながら裕くんも挨拶を返す。
でも、なんで…?
誠二朗さんは転勤になったはずじゃ…。
「2人でショッピングかな?仲がいいね」
「あ、はい…。そうなんです」
なんてそんな事を急に聞けるはずもなく、誠二朗さんの会話に応える。
「その様子を見ると今から帰宅する予定だった?もしそうなら家まで送るよ」
「いや、でも、その…」
「遠慮しないでいい。知らない仲ではないんだし本当にたまたまだから」
そう言う誠二朗さんの厚意を無駄にすることも出来ず裕くんと目を合わせたあたしはしぶしぶお家まで送ってもらうことにした。
「すいません…お願いします……」
とはいえやっぱり心境は複雑だった。
誠二朗さんはお母さんの元再婚相手だし、
送ってもらう家はお父さんと暮らし始めた家だし、
どう考えても誠二朗さんにとっては嫌な事しかないよね……。



