【奏夢side】




「………うわぁ…っ」



そう声を漏らす心音を横目に俺はふっと笑いをこぼす。


まぁあんな橋の先にこんな絶景が広がってるなんて思ってもなかっただろーな!


俺がここを知ったのは小1の夏。





ここは、母さんとの思い出の場所───────













「ここ、お前にはもったいねぇくらいいーとこだろ!特別に招待してやったんだ、思う存分楽しんでけよっ」



「うん、そうさせてもらうね。けど…こんなに眺めのいい海が広がってるのに人が誰もいないね…?」



んなの、当たりめぇだ。


ここは母さんと父さんにとっても思い出の場所。


なんたって2人が永遠を誓い合った場所みてーだからな。



「穴場だからな…俺の両親の秘密の場所だ」



「えっ…!そんな場所にあたしなんかが来てもよかったの?」



「分かってねぇな!心音だから連れてきたんだろーが!!感謝しろよっ」













母さんが死んでから心音が転校してくるまで、俺は全ての女を金だけで判断するロクでもねぇ奴らだと信じてやまなかった。


だから心音もそんな女の1人にすぎねぇと思ってた。


だからこいつが怯えよーが何を思おーが、構わねぇはずだった。


俺は俺の信じたままに行動する


これまで通りそれを貫いていくはずだったんだ。















────心音を好きになるまではな。