あたしたちといる時くらいはそのままの奏夢くんでいてほしい。
俺様でもわがままでもそれが奏夢くんの全てだから。
───────大切な、仲間だから。
きっと他の皆も思いは同じ。
「やっと渡りきったな。少し歩くぞ」
「うん…?」
あたしが過去を打ち明けたあの日。
奏夢くんだけはあたしを叱って慰めてくれた。
お前がなりたくない人間にはなるなって、そう言ってくれたんだよね。
あの時、あたしが言ったことがちゃんと伝わったんだなってほっとしたし…
なによりあたしの事を思って言ってくれたのがすごく嬉しかったんだ。
本当に、感謝してる……。
「ほら、ついたぞ」
「………うわぁ…っ」
奏夢くんに言われて視線をあげたあたしの目には絶景が広がっていた───────



