あれから半年。
今では普通に対応できてる自分をあの頃は想像すらしていなかった。
人って変われるんだなって今なら心から思えるよ。
「それはそーとお前、今日は覚悟しておけよ?」
「どういうこと…?」
奏夢くんが言うと本当に危険なことが起こりそうで怖い…。
「やっぱりデートって言ったらスリルだろ!」
何かそれ、間違えてる気がするけど…。
奏夢くんらしくてそれでもいいかなんて思っちゃうあたしはやっぱり馬鹿なのかな。
「楽しみにしてるね(笑)」
「おう、任せとけっ」
奏夢くんが進む道をあたしは流れのままに歩いていった。
「着いたぞっ」
寮をでて、電車を乗りつぎやって来たこの場所。
「奏夢くん、本当にここであってる……?」
「はぁ?何言ってんだよ。俺が間違えるとでも思ってんのか」
「いや、そうは思ってないけど…」
だってここ、
────────崖っぷちの橋だよ…!?
「心音知らねーのか?世の中には吊り橋効果ってのがあんだぜ」
自信満々に言ってのける奏夢くん。
吊り橋効果って…本当に吊り橋でためす人、いるのかな……。
「吊り橋効果なら知ってるけど…」
「何だよ、何か言いてぇことでもあんのか?」
これ以上奏夢くんと口論してても仕方が無いよね。
「ううん、ないよ!着いたならほら。行こうよ」
「あ、あぁ」
それにしても“吊り橋効果”って。
「ふふっ。あはは」
「何だよ?」
「何でもない。ただ、奏夢くんらしいなって思っただけ」
奏夢くんだから思いつくデート。
どんな事が待ち受けているのかわからないけど…あたしたちらしく楽しめばいいよね。