【心音side】
「…い、お……ろ。…い、起きろっ」
「……ん…。……え、奏夢くん!?」
「支度しろ!行くぞ」
何だかこの光景、最初の頃にもあったような……。
「もうっ!何度も言うけど、勝手に人の部屋に入ってこないでっ…!」
「お前が遅いのが悪ぃんだろ?ったく、のろまが」
相変わらずの強引さ…。
「…待っててやっから、出来るだけ早くしろよ!」
だけどやっぱり少しだけ優しくなったような気もする。
最初はこの強引さに圧倒されてたんだよね…。
今となっては懐かしいな……。
「うん、待ってて。すぐ行くっ」
「おう。当たり前だ」
奏夢くんが部屋を出ていったことを確認するとあたしはすぐに支度を始めた。
気を取り直して。
優空くんとのデートから1週間。
今日は6人目…最後の相手、奏夢くんとデートの日。
何とかここまで来た。
あたしは今日を終えた時、何かしらの判断をしないといけない。
答えをくれ、と言われたわけではないけど…。
そもそもあたしがこのデートを設定したのはそのためだから。
何がなんでも最後まで、あたしはしっかり自分で決めたことをやりとげる。
これからの自分のためにも、
──────────彼らのためにも。
☆*☆*☆*☆*☆
「奏夢くんっ…お待たせ」
「おめぇにしては早かったんじゃん?しょーがねぇから許してやるよ」