黙って俺のモノになれ【下】


でも…それをきっかけにもっと頑張んなきゃなって思った。


もっと色んな人に名前を届けないとってやる気が増した気がする。



「いつから始まるんだっけ?」



「……明日」



「そっか、月9!」



「うん」



「絶対に見るからっ。そうだ、一緒に見る?」



「いや、遠慮しとく」



さすがに恥ずかしいし。



「そっか、残念………」



「じゃあさ、感想。聞かせてよ」



「分かった!」



心音の目に俺はどーゆー風に写ってくれんのかな。


最近、そればっかり考えてる気がする。


惚れすぎだな、俺……。


もうちょっとき引き締めねーと。


仕事に支障が出たりしたら、元も子もねぇし。














俺たち1人1人に向き合ってくれた心音にも、実はたくさん悩みがあった。


男嫌いになった理由。


その原因となった宮城って男。


それから……家族のこと。


まだ高校生なのに心音はたくさんの事を1人で抱えて生きてた。


全部聞いたわけじゃねーし、全てを話してくれたわけじゃねーけど。


俺は1度だけ、堰を切ったように涙を流す心音を見た。


その姿はあまりにも小さくて。


絶対に守ってやりたいって、そう思ったんだ。


他の誰かじゃダメなんだ。


俺が、心音を守りたいって。


心音が涙を見せたのはあの1回だけだけど、


頼ってくれたことが


そばにいてって言ってくれたことがすごく嬉しかったのを俺は覚えてる。


心音はきっと、自分で思ってるよりもずっと人に頼ることが苦手だから。


俺は言われなくても、言葉にしなくても心音のことが分かるようになりたい。


それで、辛い時にはそばにいてやりてぇ。


だって次は、俺がお前を支える番だろ?


心音にはたくさん救ってもらったから。