文化祭の日。


俺は迂闊にも心音とはぐれてしまい…


任務を遂行出来なかったことに対してすげーイラついてて。


心音を見つけた時には感情を抑えることを忘れてしまってた。


それで“心音!”なんて…


すげぇ驚いた顔してたな。


って、当たり前か。


だって俺、裏と表が全然違ぇから。


それでも心音は態度を変えなかった。


それどころか…俺の痛いところをついてきた。


俺が怖がってるだけだって、


本当は寂しい気持ちを隠してるって、


今まで誰にも気づいてもらえなかった俺の本当の気持ちに、心音が初めて気づいたんだ。


あの時は焦ってたから、かなり酷い言い方で言葉を並べてた気がすんだけど…。


心音はそれさえも受け止めてくれた。


そして、本当は気づいてるはずだって言ったんだ。


俺が踏み出せなかった1歩を、踏み出せるように背中を押してくれた。


皆の前で取り繕う必要なんてない。


だけど皆の前で素を見せる必要もない。


当たり前のことだけど、俺にはそれさえ見えなくなってたから。


だから心音の言葉が妙にしっくりきて、あぁそうなんだって納得できた。


心音はもう既にいた、仲間の存在を俺に改めて教えてくれた。



「そう言えば、最近お仕事忙しいみたいだね。あまり学校で見かけないから…」



そう言えば心音って、俺がユウだっていうの依然にユウの存在を知らなかったんだよな。



「あぁ…うん。言っただろ?俺、今ドラマに出てっからそれなりに忙しくしてるんだよ」



「そっか、大変だね…。でもあたし優空くんが人気者になっていくのが嬉しいよ。頑張ってね、応援してるから」



今はこーやって応援までしてくれてるけど。


どんだけ自信過剰なんだって話だけどさ、知らないって聞いた時はビックリしたな。


だってそれなりに知名度は高いつもりでいたから。