「…ははっ、ごめん。ちょっと意地悪だった。でもあれが俺の想いの全てだから」



ちゃんと、伝わってんのかな。



「うん…ありがとう」



なんて、大丈夫か。


だって…心音だから。



「じゃ、屋台巡り再開するかっ」



「うん!何か暖かいもの食べたいな…。少し冷えちゃったから」



そう言う心音の小さな手をさりげなく握った。



「これで少しはましになると思うけど」



「ありがとう…っ」



俺たちは再び屋台の中に入っていった。














入学当時は思いもしなかった。


俺が1人の女にこんなに想いを寄せるなんて。


人を信用するようになっているなんて。


心音が来た頃は、まためんどくせぇ事になったなって思った。


俺は極力人とは深く関わりたくなかったから。


無意識に避けてたんだ。


歩み寄ろうとしてくれる全ての人を。


恒太だって、奏夢たちだってそう。


俺は皆の好意を無駄にしてた。


素こそ見せてたけど、踏み出せないところがあったから…。


俺は上辺だけの関係をずっと続けていた。


途中までは本当想定通りだったんだ。





────心音に素を見せてしまうまでは。







「優空くん。あたし、あれ食べたい」



「唐揚げ?」



「うん」



「行こ。俺が買ってあげる」



「いや、悪いからっ…」



「いーから。たまにはかっこつけさせろって」



じゃあ…としぶしぶ引き下がる心音。


こーゆーとこはまじで頑固だよな…(笑)



「…ありがとうっ」



「おう」