【優空side】
心音にステージに立つことを告げてから、俺は真っ直ぐにそこを目指して歩く。
ステージに上がるってことは、それだけリスクを負う。
ユウだってバレるかもしれねー。
けど、そんなこと知らない。
俺は今いる小さなあいつに、想いを伝えたい。
本気なんだって、ちゃんと伝えてぇんだ。
「おや、次のエントリー者は随分と若いですね。高校生ですか?」
「はい。高1です」
「お相手は…?」
「恥ずかしがり屋なんで、ステージには上がらせませんでした。でもちゃんと聞いてると思うんで」
「わかりました!それでは愛の告白をどーぞっ」
そう言うと司会者はマイクを俺に手渡す。
完璧な変装のおかげでユウだって気づいてるやつは1人もいなさそーだし。
早く気持ちを伝えてステージを降りよう。
俺は息を吸いこんだ。
「俺は、心音が好きだ。世界中の誰よりも大好きだ!お前は俺に大事なことを教えてくれた。俺にはお前しかいねぇんだよ…。だから、好きになってくれ……」
嘘偽りのない俺の想いを、心音に、観客にぶつけた。
これが俺なりの好きの証。
今、ここにいる観客がその証人だ。
俺に仲間の大切さを教えてくれたのは、お前なんだよ。
───────────心音。
「…優空くん。恥ずかしいよ……」
ステージから戻ると心音は真っ赤な顔をしていた。
「皆、心音がお前だなんて分かんねーよ。心音のその真っ赤な顔を見てなきゃな」
つまりはまぁ、心音の周りにいた人くらいにはバレてるかもしんないけど。
「それって…、バレてる、よね?」
そんなの、俺のせいじゃねーよな。
「……さぁ?」
「最悪だよ…」
「それ、結構傷つく…。俺の想いが迷惑だってこと?」
「そーじゃないよ…!優空くんの気持ちは、嬉しい、けど…」