「心音、ちょっとこっち」
「なに?」
「くじ、やってみねー?」
「いいけど…。優空くんくじ好きなの?」
「言ってなかったっけ?俺、昔から祭りとか大好きでさ。よく引いてたんだけど運だけはいいんだよ、俺」
優空くんがお祭り…か。
何となく分かるような気がする。
それに……運気も強そうだよね。
「そっか。羨ましいな」
「何か欲しいもんあるなら言って。絶対当ててみせるから」
「えっと、それじゃあ…」
あたしは大きなぬいぐるみを指さした。
「よっしゃ。任せて」
そう言い引いたくじの中には
「お兄ちゃん、おめでとう!ちゃーんとお嬢ちゃんが欲しい物が当たったよ」
宣言通り、あたしが欲しかったぬいぐるみの番号が書かれていた。
……本当に当てちゃうなんて。
「ほら、あげる」
「すごい…本当に当たっちゃった…」
「当たり前だろ?」
自信満々の優空くんにあたしは笑いをこぼした。
そう言えば、優空くんが熱で倒れたこともあったな…。
あの時はびっくりしちゃったけど、
優空くんの体調の変化に気づけてよかった…。
あのまま放っておいたら、どこで倒れてたか分からないし。
少しでも役に立てたみたいで嬉しかったのを覚えてる。
それから優空くんとは少しずつ距離を縮めてたつもりだったけど。
実は誰よりも近づけてなかったんだよね…。
文化祭の日。
あたしは優空くんの孤独や寂しさを知った。
「優空くん、たこ焼き買いたいんだけど…。行ってきてもいい?」
「待って。俺も行く」
「あ、優空くんもいる?あたし、買ってくるよ」
「そーじゃなくて。1人にされらんないだろ?」
「でも…」
「ほら、行くよ」
優空くんの優しさにあたしは心が暖まるのを感じた。
優空くんは何だかんだ言って、いつもそばにいてくれる。
それがどれだけ心強いか、優空くんは分かってるのかな…?



