黙って俺のモノになれ【下】



「心音、ちょっとこっち」



「なに?」



「くじ、やってみねー?」



「いいけど…。優空くんくじ好きなの?」



「言ってなかったっけ?俺、昔から祭りとか大好きでさ。よく引いてたんだけど運だけはいいんだよ、俺」



優空くんがお祭り…か。


何となく分かるような気がする。


それに……運気も強そうだよね。



「そっか。羨ましいな」



「何か欲しいもんあるなら言って。絶対当ててみせるから」



「えっと、それじゃあ…」



あたしは大きなぬいぐるみを指さした。



「よっしゃ。任せて」



そう言い引いたくじの中には



「お兄ちゃん、おめでとう!ちゃーんとお嬢ちゃんが欲しい物が当たったよ」



宣言通り、あたしが欲しかったぬいぐるみの番号が書かれていた。


……本当に当てちゃうなんて。



「ほら、あげる」



「すごい…本当に当たっちゃった…」



「当たり前だろ?」



自信満々の優空くんにあたしは笑いをこぼした。













そう言えば、優空くんが熱で倒れたこともあったな…。


あの時はびっくりしちゃったけど、


優空くんの体調の変化に気づけてよかった…。


あのまま放っておいたら、どこで倒れてたか分からないし。


少しでも役に立てたみたいで嬉しかったのを覚えてる。








それから優空くんとは少しずつ距離を縮めてたつもりだったけど。


実は誰よりも近づけてなかったんだよね…。


文化祭の日。


あたしは優空くんの孤独や寂しさを知った。



「優空くん、たこ焼き買いたいんだけど…。行ってきてもいい?」



「待って。俺も行く」



「あ、優空くんもいる?あたし、買ってくるよ」



「そーじゃなくて。1人にされらんないだろ?」



「でも…」



「ほら、行くよ」



優空くんの優しさにあたしは心が暖まるのを感じた。


優空くんは何だかんだ言って、いつもそばにいてくれる。


それがどれだけ心強いか、優空くんは分かってるのかな…?