黙って俺のモノになれ【下】


あたしは約束通り、水族館の外れのあの場所へ向かっていた。



「優空くん。もしかしてあそこに何かあったの?」



「いや、いつもは何もねーんだけどさ。今日はちょっとしたイベントやってるって聞いたから、それで」



「お仕事仲間の情報ですか?」



「まぁね」



優空くんは相変わらずモデル業で忙しくしてる。


最近は学校にいないことも多々あるほど。


でも…いい事だよね。


それだけユウが売れてるってことだから。



「さすがだね…っ」



「これくらいなんて事ねーよ」



思えば最初はユウの存在さえ、知らなかったんだよね…。



「何やってるのかな…。すごく楽しみ」



「だな。今日は楽しもーぜっ」



「うんっ!」














入学したての頃、優空くんは人当たりのいい明るい子だって信じてやまなかった。


1番話しやすかったのも、


接しやすかったのも、


この学校に馴染むきっかけになったのだって全部全部優空くんだった。


明るくて陽気な性格に、


あたしはすごく救われたのを覚えてる。


怖くて、不安で仕方のなかったあたしに優空くんは光を与えてくれた。


本当に感謝してる。



「うわぁ…人が、たくさん…」



「やっぱ賑わってんな」



「これは…1種のお祭り?」



「みたいなもん。屋台もたくさんあるし、食いてーもんとかやりてーもんあったら言えよ」



「分かった!」



ずらりと並ぶ色とりどりの屋台に目を輝かせながら、あたしは人だかりの中へ進んだ。