【湊叶side】
「湊叶くんっ、遅くなってごめん……っ」
そう言い俺の元に戻ってきたこいつ。
「…で?買いてーものは買えたのか?」
「うん!これなんだけど…」
こいつが目の前に出したそれは、遊園地でよく見るかぶりもの。
…しかも2つ持ってるし。
「こっちは湊叶くんの。…一緒につけない?」
「は?バカじゃねーの。俺はつけねーよ」
ンなもん恥ずかしくてつけれるかよ…。
「お願い…っ。ちゃんと目立たないやつにしてるから」
どこが“目立たない”だよ…。
頭に何かつけてる時点で目立つっつーの。
こいつが俺に手渡したのは、ス〇ーピーのキャップ。
頭につけてるのはミニ〇ンのカチューシャ。
「今日だけでいいからっ…」
馬鹿か。
言われなくても今日しかつけねー…。
って俺、かぶる気満々じゃねーか……。
「…ったく、今日だけだからな」
俺は仕方なくそのキャップを被った。
今日はこいつ…心音と遊園地に遊びに来た。
理由はまぁ…言わずもがな。
一応デート中、って事になんのかな。
遊園地に誘ったのは俺。
元々人混みは得意じゃねーけど…
心音となら来てみたいって柄にもなく思ったのがきっかけ。
コンビニアイスで当たんなかったらなかっただろーけど。