黙って俺のモノになれ【下】



「ありがとうございます…。そっちは4番テーブルに…」



「分かった」



桐沢くんのさりげないフォローがあるから。


スタッフ姿の彼は本当にかっこよくて、いつもの倍は女性のお客さんが多いような気がした。


来店してくる女性客のほとんどが桐沢くん目当てみたいだけど、



「このあと一緒にどこか行きませんか?アドレス教えてくださいっ!」



「…すいません。そういうの求めてないんで」



桐沢くんらしく拒否。


仕事は早くてスマートで。


正直今までで1番かっこよく見えた。



「…落ち着いたのかよ?あと1時間で休憩入るし、それまで倒れたりすんなよ」



すれ違いざまに桐沢くんにそう言われ、軽く肩を叩かれる。



「いいなー、あの子だけ」



「あの子、カノなのかな?」



「羨まし~。私らもここでバイトしちゃう~?」



途端、浴びる視線とそんな声。



「嬉しいけど人数足りてるからお断りねぇ。いつもSKYのご利用ありがとう。ね、湊叶くん」



そしてそれをやんわり断る輝さん。


……………いつの間に。



「…店にはいつでも来てください」



「そういうことっ」



桐沢くん、嫌そう…(笑)


だけど…輝さんの対応を見れば、これがいつもの光景なんだろうなって何となくわかる。


つまり、桐沢くんも楽なわけじゃないって事で。


…………………あたしもしっかりしなきゃ。