「はーーー?!
私以外で旅行に行く?!」

「だってー、莉々、どうせバイトでしょ?」

今年の正月、私の家族は、私抜きで、
温泉旅館に泊まりに行くんだと!

「ってか、聞いてないし」

「莉々、どうせいけないから、
言わなくてもいいかなって」

「もー、お母さんは言わないこと多すぎ」

ま、でも、今年は大晦日もバイトあるし、
仕方ないよね。

「えー!リリーは温泉来ない?」

「あー、ルイ君。莉々はバイトだから、お留守番なの。
おばさんたちと三人で行こうねー」

けっ!私も行きたかったぜ!
王子と温泉行きたかったぜ!
王子の浴衣姿見たかったぜ!

「リリーと離れるのやだー」

「ルイ、お母さんたちと楽しんでおいでね」

「リリーも来て」

「いや、もうシフト入ってるし、無理」

いや、しかし、一人正月は厳しいな。
誰か、同じような状況の人いないのかな…

はぁ…
大晦日のバイトは昼過ぎには終わるから、
それから何しようか―…

「あら、ルイくん寝るの?」

「うん、おやすみ」

「おやすみ、ルイ」

ってまだ、午後8時だけどね。