コウちゃんが大きく足を振り上げた。
ゴールまでは距離がある。
普通の人が蹴ったら届かないような距離なのに、コウちゃんの足で蹴られたボールは勢いよくゴールに飛んでいった。
ゴールキーパーが構え、ボールの来た方へ飛ぶ。
だけど、コウちゃんのボールは器用な回転をかけ、ゴールキーパーの手の隙間をすり抜け網に吸い込まれた。
「きゃゃゃゃゃゃあ!!」
私は愛美と手を取り合ってその場でとび跳ねた。
「真田くん、すごいね!! さすがだよ!!」
まるで自分が誉められているかのように嬉しい。
「コウちゃーん!!」
また大きな声をかけると、コウちゃんは仲間に揉みくちゃにされながら私を振り返った。
私はさっきのコウちゃんのように、グッと手を伸ばして親指を立てる。
コウちゃんは小さく微笑み、私に向かい軽く右手を上げた。
私達のクラスの男子サッカーは、みんなの予想通りみごと優勝した。
私達女子サッカーはと言うと......。
言うまでもなく、一回戦敗退。
だけど、コウちゃんのサッカー姿を間近で見られたから、最高に幸せなクラスマッチだった。